発表
L-009
課題非関連情報による後続事象の予測:視覚刺激の接近が体性感覚事象の予測に及ぼす影響 |
予測は脳の主要な認知機能のひとつである.我々は外界事象を予測し,予測と結果のずれである予測誤差を最小化することによって環境内で適応的な行動を選択している.外界事象の予測の中でも体性感覚事象の予測は身体を健常に保つ上で重要であるが,体性感覚は物体が身体へ接触した後に感覚処理が行われるため感覚内での体性感覚事象の予測は困難である.この問題に対し,我々は身体への接触前にも利用可能な情報,特に接触との関連が想定される身体へ接近する視覚刺激から体性感覚事象を予測していると考えられる.また,この多感覚相互作用は,課題とは非関連な情報であっても影響する自動的な処理である可能性がある.本講演では,事象関連脳電位(event-related brain potential: ERP)を指標とした講演者の研究結果にもとづき,課題非関連情報である視覚刺激の接近による体性感覚事象の予測システムについて論じる.